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help リーダーに追加 RSS 崖の上の ポニョ 感想

<<   作成日時 : 2008/09/03 22:37   >>

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ようやく観てきました。 崖の上の ポニョ。

いい作品でした。 本当にそう思います。 自分は傑作だと思ってます。

これだけの良作なのに、酷評が多いのは何故だろうか。 観終えて思うのですが、恐らく、皆が期待していた 「宮崎作品」 、 「ジブリ 作品」 ではなかったからではないでしょうか。

皆が見たかったのは、「カリオストロ」 や 「ラピュタ」 のような冒険活劇的な話と、画面を縦横無尽に駆け回る キャラクター。 こういったものを望んでいたのだと思う。



現在の日本の アニメ は、アニメ 化していない部類がないほど、多様な作品が作られている。 
そんな多種多様な アニメ を、我々日本人は一週間に何本も視聴している。 日本は言わば、「アニメ の飽食時代」 に入っているのではないだろうか。

だが、それでも ものたりなさ感がある。 ひとつ良いものが出来ると、次はそれ以上のものを望むのが、人間心理。 
「死に水」 のはずだった 「もののけ」、しかしこれに満足しなかった観客。 次だ次こそは・・・の思いが届かず、はがゆい感じを抱いていた ファン。 そして、出てきたのが子供っぽい感じの話の 「崖の上の ポニョ」。

「カリオストロ」 のような傑作を再び・・・を望んでいた人達には、あまりにも期待はずれだっただろう。

もっと美味しいものが食べたい、もっと何かがあるはずだ。 「飽食の時代」の最も自然な反応が、酷評という形になったのではないか。



逆に言うと、こういう時代だからこそ、「原点」 に戻ろうと思うのだ。


現在の日本の アニメ は、P C 処理に取って代わられた。 今、T V で流れている アニメ の動画の線は、細く シャープ になり、昔のような線の強弱をつけることはなく、質感もなく無機質な絵になった。
動画はできていても、昔のような体温のある絵は存在しない、変わってしまった現在の アニメ がそこにある。

P C 処理が悪いのではない。 使い方と工夫と、個性の重視なのだ。


崖の上の ポニョ は、「オール 手描き」と言うだけあって、これでもか・・・というくらい線が太いし、線の強弱の入り方が昔の アニメ そのままです。

これだけ線の柔らかい アニメ は、本当に久しぶりでした。 加えて、船や車といった造型物でも、ほとんど定規を使わない。 キチッ とした形のものを描くとき、大抵はテンプレート や、自在定規等の定規を使いたがるのですが、線の柔らかさを出すために、必要最小限に抑えてあります。 ( このあたりの解説は、技術編で )

背景が荒いと評された方がいましたが、崖の上の ポニョ は 「おとぎ話」 です。 絵本のおとぎ話には、パステル は最適だと思うし、パステル であの色彩を出すのは、並大抵ではありません。 ( これも技術編にて )

あれだけの線の柔らかさに対抗できるのは、普通の水彩の背景よりも パステル しかない。 絵本のようなお話に合わせるには、パステル 画が一番だと思う。

絵も動画も背景も、セルアニメ 当時そのままの、温もりのある 「体温」 を感じ取れる柔らかい仕上がり。 現在の P C 処理、 C G 全盛の中で、これだけの仕事が出来るだろうか。

どんなに美味しい料理があっても、最後に行き着くのは 「おふくろの味」。 洋食を食べていても、もう一度食べたくなるのは、ごはんと味噌汁。 
魂が、最後に行き着くのは 「原点」 です。 「ポニョ」 は、アニメ の原点に返る作品。 そう思う。





ストーリーも、「良い」と「悪い」の両極端に分かれたが、これは全て 「大人の意見」。 「子供の視点から見た、大人の感想」であり、対象とした子供の感想ではない。


話が横道に入るが、B S で 「とことんルパンIII 世」 を放送していたとき、初代演出家の インタビュー に上の言葉があった。 どんなに ファミリー 向けに作品を作っていても、対象とした年齢からの感想はなく、大人からの 「子供目線での大人の感想」 が多い・・・と言うのだ。


宮崎駿氏は脚本家ではない。 アニメ 職人だ。 伝えたいことは文章 ( セリフ ) ではない、絵で演技で伝えたい。 そういう人間だ。

一番分かりやすいのが、宗介と ポニョ が、魔法で大きくした宗介の ボート に乗って ひまわりの家 に向かう途中、同じく小船に乗った夫婦に出会う シーン。 母親の胸に抱かれている赤ちゃんが泣き出したのを見て、「お腹がすいている」と感じ取る ポニョ。
この シーン、恐ろしく セリフ が少ない。 ポニョ や 宗介 が セリフ で説明しているわけでもない。 だけど、観客には、「ポニョが感じ取っている。 ポニョ にはそういう能力がある」 と、分かってしまう。

説明的な セリフ は存在しない。 完全に絵と演技で分からせてしまう。 これが宮崎作品だと思う。

実は子供の反応を見たくて、ファミリー が集まりやすい シネコン で観たのだが、予想どうりの反応で、なかなか面白かった。
この シーン の時、隣に座っていた女の子が、その隣の父親に小声で 「ポニョ、赤ちゃんの言葉わかるんだよ」 と説明していたのを聞き、「宮崎さん、ちゃんと伝わってるよ」と、心の中で ガッツポーズ だった。

子共達には、ポニョ や宗介の優しさ、思いやりが伝わっている。 重要なのは、キチン とした ストーリー よりも、何を伝えるか・・・だと思う。 
それはまるっきり 「絵本」 の役割そのもの。 「絵本」 も、子供に読み聞かせて、その中から何かを感じ取らせる為にある。 愛情だったり信頼だったり、出会いだったり別れだったり・・・。 その感じ取ったものを育みながら、人間は成長していく。


「崖の上の ポニョ」 は、おとぎ話であり、映画は動く絵本である。

大津波で街が沈んで、被害甚大だろう・・・と思うのは 「大人の意見」。 大津波を起こす魔法を ポニョ は持っている・・・と思うのは、「子供の感想」。 カメハメ波 で、山を吹き飛ばす 孫 ゴクウ を見て 「自然破壊だ」 と非難する人がいないのは何故か。 これも、「大人の意見」。

あなたの周りの 5 歳児を、よく観察して下さい。 後先を考えて行動する児童でしょうか。 危険を予測して回避策を取る児童でしょうか。
宗介も ポニョ も、危なっかしいことこの上ない、等身大の 5 歳児です。 今、ここまで等身大の演技を描ける アニメーター が、日本に何人いるでしょうか。


もう一度、「崖の上の ポニョ」 は、おとぎ話であり、映画は動く絵本である。

これほど テーマ も分かりやすく ストレート な映画は、今までなかった。 なかったのが不思議です。

間違いなく 「崖の上の ポニョ」 は傑作です。 自分はそう思います。




最後に、ラスト の終わらせ方について。

「ポニョ は人間になりました。 めでたし めでたし 」 です。 昔話的な終わらせ方で、面白いと思いました。
















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崖の上の ポニョ 【 技術編 】
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風 遊 
2008/09/11 22:08

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
暖かめの感想でよかた。
個人的にはEDにも驚いた。この映画をつくった人って、いさぎよすぎ!
UKIUKISAN
2008/09/07 20:51
あのEDで、「おとぎ話」だと確信しました。
あの二人の物語なんだし、あの二人で終わらせるのは自然だよなぁ。
なんで皆、分からないかなぁ・・・と思う。
ヨウ
2008/09/07 22:26

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