蟲師 続章 # 11

森の奥で蟲が ざわめいていた。 異変に気付いたその山の蟲師 スグロ は、蟲柱の下に倒れている子供を見つけた。


『蟲師 続章』 公式 サイト


分割 2 クール の後半が始まりました。 前半があんなことになったから、不安ではあるけど スタッフ には何とか 踏ん張ってもらいたいね。 でも体は壊さないように。


※最初におことわり
自分の感想は アニメ の技術面の レビュー が主ですが、アニメ が P C 処理になる前に アニメーター を退いてますので経験者、現役から見ると、 ヌルイ・痛い 感想になってます。 ご注意を。


毎度うっとおしいと思う前置きですが、ご理解ください。


さて後半の最初は 「草の茵」 ( くさのしとね) です。 ギンコ の子供時代の話。
いきなり核心部の話ではなく、初見の人でも 「蟲師」 の世界感が何となく分かる話を持ってくるのはいいですね。

「光脈」・「蟲」・「ぬし」 等、用語が出てもなんとなく雰囲気が分かる話。 導入として親切だと思います。



作画の方は、さすがの安定で嬉しいかぎり。 ギンコ の顔が子供っぽくないとか感想があったね。 だけど原作の画からこうだし、アニメ 設定でもう少し デザイン を変更するという手もあるけど、「草を踏む音」 から数年経ってるからそれより成長した顔じゃなきゃ・・・という考えだと思う。 確かに シーン ごとに バラ つきはあるが、「原作をそのまま行く」 というのが スタッフ の中にあったのかもしれない。

続章の前半は途中から スケジュール の キツ さが伺えて、見てる方が心苦しかったけど、この 後半第1話は余裕を持って作られてる感じがする。

ハデ な動きはないけど、人物の重心移動とか キャラ の心情の描き方 ・ 演出とか、しっかりした ポリシー の元で作られてるので淡々と流れながらも印象の残る シーン が多い。 それがこの 「蟲師 」 という作品なんだと思う。

この回、A ・ B パート 共に ギンコ と スグロ が連れだって歩く カット がいくつかあるが、そのどれもが ギンコ と スグロ を別 セル に分けて描くいている。
現在は P C 処理のため セル は使用してませんが、動画の呼び方として セル という言葉はあります 。 
簡単な動画にするなら、二人は同一動画上で作画され、歩く動きや タイミング は同じになります。 岩場を歩く カット など、人物の間隔が開く場合は分けますが、正面画で並んでる場合は同一動画上の方が楽です。 この方が作業は簡単になりますし、時間短縮 ・ 動画枚数の削減といい事ずくめですが、アニメ として見た場合は単調になります。

それをやらないのがこの スタッフ です。

わざわざ二人を別 セル に分け、歩きの基本 ( 引いた画での基本 ) の上下動のみの動きを避け、左右に重心が降れる動画を入れる。

個人がそれぞれ歩くわけですから、全く同じ動きにはならない。 それに歩く場所は アスファルト の様な平な場所ではなく、足場の悪い デコボコ した地面である。 足場が悪いから スマート な歩きでは舞台の雰囲気が出ないので、重心が左右に揺れる動きにする。 理屈は分かりますが、作業としては手間がかかってます。 ギンコ が山の風景に見とれる シーン で スグロ ・ ギンコ 共に岩の足場に気をつけながら歩く動画に 「そこまでするか」 と感心しました。

理屈と言えば、この スタッフ は自分で実践してから動画作成してるのかと思える動きがある。

光脈の前に倒れている ギンコ。 ムクリ と体を起こす カット。

一度、足を体に引き寄せてから体を起こす動画にしてある。 これ、この体制のまま体を起こす場合、右手を着かなければ体を起こせない。 しかし両手で卵を持っている設定なので、手を着くという動画では無理がある。 卵を抱えつつ体を起こすには、足を引き寄せて起き上がりこぼしの様に体を起こすほうが自然だ。
実際に寝てみて、手を使わずに起きるにはどういう動きになるか、実践してみたんだと思う。 原作の絵では、動きまでは分からないからね。 どうしたら それらしくなるか。 作画の打合せで、この動きをどうするか出たんだと思う。 ギンコ が卵を抱えてる カット に変わったとき 「あぁ~そうかぁ」 と納得と同時に感心しました。



ヌシ が光脈に身を沈めていく カット、上手かったなぁ。

何だか ガクガク と動いてるけど、光脈の中で隠れてる脚の動きが分かる でしょ。 動き自体は 「もののけ」 の ヤックル を参考にしてると思うけど、それにしても 動物の骨格をしっかり理解してるから、見えてない部分の動きまで分かる。 前脚が動いたとき、同時に動く肩甲骨の動き。 後脚が動いたときの寛骨 ( 腰骨 ) 、大腿骨の動き。 なおかつ光脈に入る時の足元が悪そうな ゴツゴツ 感。 骨格とそれに伴う筋肉の動きを理解してないと、こういう動画は描けない。 「上手いなぁ」 と ひっくり返りました ( 笑


演出も良かったよな。

ギンコ が ヌシ の卵を落とす シーン。 卵が手元から スルリ とこぼれて ハッ とする ギンコ。 地面に卵が ペシャ っと落ちる。 こぼれ落ちる過程の 4 カット が超 スロー に対して、卵が割れる カット が通常 スピード。
最初の 4 カット は ギンコ 視点 ( 主観 ) 、割れる カット は視聴者視点 ( 客観 ) になってる。 
人間は咄嗟の出来事に会うと、物事の動きが スローモーション のように見えるという感覚がある。 アニメ や ドラマ ではよく使われる スロー 演出だが、こういう主観が入ると見ているこちら側 ( 視聴者 ) も 「どうしよう」 という感じになる。
ベタ と言えばそうだけど、素直にいい演出だなと思いました。



クライマックス の白い手が ヌシ の卵を受け取る シーン。 これも演出が良かったけど、作画も神経使っていい仕事に仕上がってた。

ふと顔を上げた目の前に差し出された白い手。 不思議そうにする ギンコ に白い手が ふわり と動く カット。 白い手を横から見た カット です。

「さあ、よこしなさい」 という感じで手が フワリ と動く。 もうひとつ、卵を受け取った後 「帰れ ( もしくは行け ) 」 と左手を前に出す カット。
この 2 カット の凄い所は、セリフ が無いのに、言わんとしてる事が分かる。

演技だけで何を訴えようとしてるか視聴者に分からせる。 それが出来てる。

現役の頃、よく先輩に 「自分が役者にならないと、キャラ は動いてくれないよ」 と言われた。 自分で演技を考えないと、自然な動きにはならないという事。 この白い手の 「演技」 もそうだと思う。 顔が無いので 「表情」 の助けはない。 手の動きだけで 「表情」 を出す。 並大抵じゃないよ。
作画の打合せで いろいろやってみたんじゃないかな。 とにかく、こだわりがないと ここまでの動画は作れない。
セリフ が無いのに、言わんとしてる事が分かる動画って、本当に難しいんだから。



始まりました続章の後半。 毎度濃ゆい仕事を見られる訳ですが、スタッフ の皆様どうぞ体を壊さぬよう気をつけて下さい。


オイラ も何とか最後まで レビュー できるよう ガンバル Yo !!













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この記事へのコメント

蟲師好き
2014年10月23日 03:25
こちらには初めて書き込みさせていただきます。
他のサイトで見かける感想とは一味違った視点からの蟲師の評価文には毎回感銘を受けながらも読ませていただいております。

勿論私は作り手の側ではありませんが毎回単なる一蟲師ファンとしては斬新に映るこのサイトならではの評価の毎回の更新を楽しみにしております。
これからもお体には気をつけて無理の無い程度に更新頑張って下さい。
陰ながら応援しております。
2014年10月23日 20:43
蟲師好きさん、はじめまして。コメントありがとうございます。

>違った視点からの蟲師の評価文

アニメの技術を解説している方は少ないですね。自分のように現場を少しでも知ってる人が、こういう解説をしてくれると有難いんですが。
まぁ、現場を退いた人間が今更技術をどうこう言うのも おこがましい とは思ってます( ^ ^ ;
でもアニメの凄さを少しでも分かってもらえれば・・と始めたブログでもあります。

>陰ながら応援しております。

お気遣いありがとうございます。続けていけるようガンバリます。
2014年10月26日 03:43
レビューお待ちしていました。
こちらのレビューを読んでから要所を改めて見直すとさらに深く蟲師が楽しめるようで嬉しいです。執筆お疲れ様です、これから後期話数が沢山あると思いますが
最後までレビュー完走できるよう一読者として応援しています。
2014年10月27日 21:00
夏さん、こんばんは。コメントありがとうございます。

>要所を改めて見直すと

自分もレビューを書くにあたり、何回も繰り返し見てます。一回では気づかない所ってありますから。作り手側の苦労を拾うのは、以外と大変作業ですが何とか拾い出して伝えて行きたいと思ってます。

>最後までレビュー完走できるよう一読者として応援しています。

ありがとうございます。ガンバります。

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